在学生・修了生の声(金原 正幸さん)

学際的、国際的な交流を育む
得難い環境があります

2012年に起業した現在の会社では、私が開発した金属ナノ粒子をベースとするナノインクの生産・供給を手掛けています。一般的にインクは印刷に利用されますが、ナノインクは電気が流れる特性を持ち、印刷するだけで電気回路を作製できる画期的な材料です。当社のナノインクは世界でも最高の伝導性を備えた製品であり、国内はもとより台湾など海外でも使用され、今後世界中に波及するものと見込んでいます。

 幼い頃から理科の教育番組を夢中で見ていたような私は、大学進学時には自分は化学を勉強して、博士になると決めていました。学部で有機合成化学を学んだ後、学外の大学院を検討していた際にJAISTを訪れたのですが、その設備の素晴らしさにまず驚き、サブテーマを学ぶなどの特色ある教育システムにも魅力を感じて進学を決めました。

 入学後、内部に身を置いてみて感じたのはその風通しの良さです。多くの大学院では研究室に配属後は外の世界と交流を持たず、よその研究室が何をしているかはわからないものです。それがJAISTではサブテーマで別の研究室を知ることができ、広範囲の科目を履修する講義の場では学生間の横の繋がりが生まれ、分野の違う者同士が互いに刺激を受け、有益な情報交換もできます。さらに、寄宿舎での“同じ釜の飯を食う”生活はより深い関係をもたらしてくれました。実は当社の副社長はJAISTの後輩で、彼は私が寄宿舎にいた頃、部屋に呼んで有機化学の演習をさせていた一人なんです。研究には基礎学力が必須だという思いから、毎週、私がご飯を作って食事を共にしつつ、教科書の問題を解かせていました。そんな“特訓”に最後まで残ったのが彼だったんです。こんな縁もJAISTだからこそ生まれたと思います。いまJAISTには多くの留学生が来ていますので、非常に勉強熱心で将来が有望な彼らを含め、様々な考え方を持つ人間と自然に交流できる時間は貴重であり、きっと将来に生きてくると思います。

(掲載内容および所属・役職はインタビュー当時(平成31年2月)のものです)

Photo: 金原 正幸さん
株式会社 C-INK
代表取締役社長
金原 正幸 さん

マテリアルサイエンス研究科博士後期課程 平成16年3月修了

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